私は全然、読書家ではないのだけど
(だから本をたくさん読む人に憧れる)
そんな私が去年読んだ中で
圧倒的な一番を挙げてみたい。
それはこちら。
著者の雨宮さんはライターで
ネットでコラムなどをよく書かれていた。
雨宮さんは、私と同じ歳の独身女性。
数々の文章の中で
歪んだ(ように捉えている)自意識や
恋愛の事、セックスの事、
幾つになっても拭えない劣等感と
一生抱えていくであろう孤独感について
いつも赤裸々に綴っていた。
どちらかと言えば
私とは正反対な部分が多いと感じる。
いろいろ違うのに
むしろ全然違うのに
何故か、読めば読むほどに
この人は私だ、
と思ってしまうのだ。
無礼を承知で言うならば
この文章、私が書いたんじゃないか?
…と錯覚するほどに
自分の事が書かれているように思えるのだ。
多分、読んでそう感じる女性は
私だけじゃないだろう。
共感を超えた共感。
それを感じる文章なのだ。
最近では『40歳がくる!』
というWebコラムを連載されていて
そして去年の9月に
実際に40歳を迎えた雨宮さんは
その1ヶ月半後に亡くなってしまった。
生前は、ネット上のコラムの
多分その一部しか読んだ事がなく
著作は訃報を知ってから購入したという
愚かな一読者の私だ。
一生会う事はないであろう人だけど
ずっと(勝手に、一方的にだが)
一緒に戦っていきたかった人が、
その姿を見ていたかった人が、
ある日、消えてしまった。
もう何も更新されない。
私が50歳まで生きていたら
50歳の雨宮さんの文章が読みたかった。
ずっと読んでいきたかった。
とても哀しい。
私ごときが
ご冥福をうんたらかんたらと
言うのは何だかおこがましく思えるが
ただ、とても哀しい、と
ここに記したい。
コメントありがとうございます。
『燃やしてしまいたいほど故郷を憎んでいる』
という一文があって、『燃やしてしまいたい』というその表現が、正にそれ以外になく、私の気持ちそのものだと思いました。
雨宮さんが恋い焦がれていた東京が、私にとっての故郷であるというのが皮肉ではありますが。
それ以外にも、考え方とか価値観とか持っている(抱えている?)ものはいろいろ違うのに、その魂に共鳴するとでも言えばいいのでしょうか。
『穴の底でお待ちしています』という、人生相談回答形式の連載が、本当に毎回これ以上ない回答をされていて、尊敬せずにはいられませんでした。
会ってみたいとか話してみたいだなんて、恐れ多くて言えませんが、ずーっとその文章を読んでいたい方でした。