続き。


初めての待ち合わせ。
待ち合わせ場所は上野駅の改札。
先に着いていた彼女は
本を読みながら私を待っていた。
お互い顔は知らなかった。
本が目印だったと記憶している。



『こんにちは、はじめまして』
それが私が彼女に最初にかけた
生の言葉。




彼女は目もろくに合わせずに
『じゃあ、行こうか』
と慣れた感じで言って歩き出した。




実際、彼女は
出会い系で知り合った人達と
かなり会いまくっていたらしいので
こういう待ち合わせは
慣れていたようだった。




目を合わせない
笑わない
ケータイばかり気にしている、
それが私から見た彼女の第一印象。
正直、全然よくない印象だった。




上野なので、
まずは博物館に行った。
まあ、美術館でも何でもよかった。
実際、博物館で何を見たのか
もうさっぱり思い出せない。
彼女はあまり喋らないし
一人でスタスタ歩いて進んでしまうし
あまり楽しくなかった。




そう、ひとつ驚いた事があって
博物館で入場券を買う時
券売機に小銭を投函する私を見て
彼女がボソッと
『左利きなんだね』と呟いた。



そう、私は左利きなのだけど。
その時の私は
字を書いていたわけでもなく
箸を持っていたわけでも
包丁を握っていたのでもなく
券売機で入場券を買っただけなのに
財布から小銭を左手で出した
その動作だけで
左利きなんだと気付かれた。



左利き人生23年で
そんなの初めてだった。
正直、なにこの人?
とドン引きしそうになった。




全然楽しくない博物館を出て
上野公園を歩き、アメ横を歩き
大して話も弾まないまま
二人で歩き続けた。
その間も彼女は
何度もケータイを見ていた。
印象良くないでしょう?
ねえ!?




疲れたから
どこか喫茶店でも入ろうか? と
でも適当な店が見つけられず
結局、二人で入ったのは
某松坂屋の食堂だった。




お洒落なレストランでもなく
パーラーでもなく
昔ながらのデパートの食堂。
ナポリタンとかお子様ランチとか
カツ丼とかクリームソーダとか
そういうメニューの食堂。




昼時はとっくに過ぎていて
夕食にはまだ早い時間だった。
店内はガラガラだった。
緊張していたのでお腹も空いてない。
そこで二人とも
アップルパイとコーヒーを頼んだ。




このアップルパイがまた、
信じられないくらい固くて
あり得ないほどに不味かった。
乾いた粘土に
湿った枯葉でも貼り付けたみたいな
ボソボソと固いアップルパイに
やけに大きなフォークを
無理やりに差しながら
これまた美味しくないコーヒーに
時折、口をつけながら
初めて対面で彼女と話をした。




話の内容は主に
彼女が出会い系で知り合って
実際会った人達の話だったと思う。



私は彼女にこうして実際会う前に
メールでやりとりをしていた段階から
彼女の事は恋人候補いうより、
友達というか話相手というか
そういうイメージで接していたから
その手の話に別に嫉妬とか
嫌なイメージは持たなかった。
彼女自身が葛藤してきた様子が
とてもよくわかったから
ずっと彼女の話を聞いていた気がする。
ガラガラだけど
全然お洒落でもなくムードもない
居心地がいいのか悪いのか
よくわからない食堂で。




この間も彼女は
時折ケータイを気にしていた。
誰かのメールでも待っているのかな
と、この時、私は思っていた。




ちなみに
後から聞いた話だけど
この時に彼女が私に抱いた印象は
『おっぱい大きくて
大人っぽい話し方の左利きの子』
…だったらしい…。
おいおいおい。




おいおいおい ←二度言った




何でケータイばかり気にしていたか
何で左利きなのがすぐわかったか




などの話も含め
次の記事に続きます。
多分。



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え?もういいって?