4時50分にアラームをかけて
5時ちょうどに起きた。
外の街灯が漏れてくるので
寝室は一晩中、ほの明るい。
車の走る音が
遠くの霧雨の気配みたいにそこにあり
近くの豪雨みたいに聴こえる時もある。
やはり、一番静かなのは日曜の夜だ。
ツレは揺り返しが来ているようだ。
不安に呑まれている。
もうすぐ四十九日が来る。
思い返している。
一人で泣いている。
生前、全く笑う事のなかったその人が
夢の中では笑っていた、と言った。
ツレは、私に出会わなければ
自分も死んでいただろう、と言う。
自ら逝ってしまったその人は
もしも誰かに、何かに出会えていたら
違ったかもしれないのに、と。
でももう楽になれたのかな?と
最後に呟く。
なれたよ。
今は極楽浄土にいるんだよ。
まだ途中にいるかもしれないけど
あと少ししたら仏になって
穏やかに安らかに眠るんだよ、と
私は答える。
それは遺された人の
都合の良い考えかもしれないけれど
そうに違いないと祈る。
祈りって
こういう事を言うのかもしれないと
何となく思った。
5時に起きた私が紅茶を淹れていると
5時30分にツレが起きてきた。
私は死んだら無になりたいと
ずっと思っていたけれど
その考えは改める事にした。
今夜も明日もあの世でも
一緒に眠って
朝になったら一緒にお茶を飲もう。
夜、泣いている彼女に
大丈夫だよ、と私は言って
朝、起きてきた彼女に
おはよう、と言った。